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離職率の低い企業に共通する特徴|統計から読み解く定着の実態

公開日
2026年8月21日
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読了 5分
離職率企業研究定着施策
この記事のまとめ

大卒新卒の3年以内離職率は33.8%(厚生労働省・令和4年3月卒業者)であり、3人に1人が入社3年内に退職するのが日本の標準である。一方で離職率が低い企業には、待遇の適正化、評価制度の整備、入社前情報共有という共通点が政府統計と民間調査の両面から確認できる。本記事はその根拠データを分解し、転職者が見極めるべき項目を整理した。

目次

  1. 大卒3年以内で3人に1人は離職する現実
  2. 中途採用者の早期離職が示すミスマッチ
  3. 離職率が低い企業に共通する特徴
  4. 入社前情報収集が定着を左右する
  5. 転職者側の行動指針
  6. まとめ

大卒3年以内で3人に1人は離職する現実

厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況』によると、令和4年3月卒業大学等就職者の3年以内離職率は33.8%である。業種別では宿泊業・飲食サービス業が55.4%と際立って高く、産業間の格差が大きい。建設分野に限れば高卒3年以内離職率41.4%が全産業平均37.9%を上回るという国会調査資料もあり、若手の定着は全業界横断の課題になっている。

出典: 厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)』p.1(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00010.html, 閲覧日2026-08-22)
出典: 参議院常任委員会調査室「立法と調査No.481」p.126-127(https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2026pdf/20260303120.pdf, 閲覧日2026-08-22)
3年以内離職率の比較

中途採用者の早期離職が示すミスマッチ

中途採用でも再離職は起きている。マイナビ『中途採用状況調査2025年版』(対象1500人)では、採用担当者の39.6%が中途入社後に「やっぱり離職」を経験しており、理由として仕事内容のミスマッチが24.5%を挙げられている。リクルートワークス研究所の中途採用実態調査では、正社員の採用難易度を示すD.I.が−17.5ポイントまで悪化しており、採用市場が売り手市場であるほど採用基準が緩み、ミスマッチ採用が増える構造がある。

出典: 株式会社マイナビ『中途採用状況調査2025年版』p.1(https://www.mynavi.jp/news/, 閲覧日2026-08-22)
出典: リクルートワークス研究所『中途採用実態調査(2024年度上半期実績)』p.3(https://www.works-i.com/surveys/report/260612_midcareer.html, 閲覧日2026-08-22)

離職率が低い企業に共通する特徴

定着する企業には統計上、次の共通点が読み取れる。

共通特徴根拠となるデータ
待遇・賃金の適正化賃上げ理由1位は「労働力の定着・確保」74.3%(帝国データバンク約12000社調査)
労働時間の適正管理年休取得率65.3%で過去最高(就労条件総合調査令和6年)
求人票と実態の一致入社前にネガティブ情報も聞いた層44%が早期離職を防止(エン転職調査n=2502)
制度による支援育児・介護制度がある場合、介護期3年超の離職率が低下(JILPT調査シリーズNo.200)

帝国データバンクの全国企業調査では、賃上げを実施する理由の1位に「労働力の定着・確保」が挙がるなど、企業側も定着を待遇設計の最優先課題として扱っている。労働政策研究・研修機構(JILPT)リサーチアイ第86回は、若年正社員のキャリア意識が多様化し、女性正社員が直面するハードルへの対応が定着の分水嶺になると分析している。

出典: 株式会社帝国データバンク『2026年度賃金改定見通し(全国企業約12,000社調査)』p.1(https://www.teikokudatabank.co.jp/news/2026/, 閲覧日2026-08-22)
出典: 労働政策研究・研修機構(JILPT)リサーチアイ第86回『変わりつつある若年正社員のキャリア意識』p.1(https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/086_250422.html, 閲覧日2026-08-22)
早期離職を防げた要因

入社前情報収集が定着を左右する

エン・ジャパンの早期離職に関する調査(有効回答2502人)では、離職を防げた条件として「事前にネガティブな情報も聞いている」が44%で最多、「良好な人間関係がある」43%が続いた。反対に離職理由では「入社前に聞いていた情報と違った」38%が上位にある。つまり求職者側が残業時間・評価制度・職場環境を具体的に確認すること自体が、離職率の低い企業を見抜く手段になる。離職防止と情報収集の関係

出典: エン・ジャパン「早期離職」に関する実態調査 p.1(https://corp.en-japan.com/newsrelease/2025/42498.html, 閲覧日2026-08-22)
出典: 厚生労働省『令和6年就労条件総合調査 結果の概況』p.1(https://ailabor.or.jp/new_rodo/entry-13565.html, 閲覧日2026-08-22)

転職者が実行すべき行動指針

実務的には次の手順が有効である。(1)候補企業の有価証券報告書で平均勤続年数と平均年齢を確認し、定着傾向を読む。(2)求人票の固定残業代・休日数と口コミ情報を突き合わせる。(3)面接時に職場の直近1年の離職者数と理由を直接質問する。この3点を経た応募は、入社後ギャップによる再離職の確率を下げる。専門家知見としてJILPTの分析でも、能力開発機会と処遇の透明性が若年層の継続意欲を高めるとされている。

まとめ

離職率の低さは運ではなく構造で決まる。待遇適正化、労働時間管理、求人票と実態の一致、制度支援という四つの条件が揃った企業は統計的に定着率が高い。転職者は企業の公表データと面接での質問を組み合わせてこの条件を検証し、採用側はミスマッチ防止のための情報開示を徹底することが、双方にとって最短の改善路線になる。

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