目次
- 賃上げラッシュの中の昇給しない会社
- 昇給しない会社の3つのタイプとサイン
- 有報と求人票で昇給ペースを調べる方法
- 留まるべきか転職するかの判断基準
- まとめ
賃上げラッシュの中の昇給しない会社
帝国データバンクの2026年度賃金改定見通しでは賃金改善見込み企業は63.5%、ベア実施58.3%といずれも過去最高だ。一方で賃上げを見送る企業は11.8%ある。
出典: 帝国データバンク 2026年度賃金改定見通し(全国企業約12,000社調査)(https://www.teikokudatabank.co.jp/news/2026/, 閲覧日2026-08-22)
東京商工リサーチの2026年度春季調査でも実施率83.2%に対し16.8%が未実施で、内容別では定期昇給72.7%、ベア61.1%だ。JILPTのコラムが指摘するように月給水準を押し上げるのは定期昇給とベアであり、ベアを実施しない会社は物価上昇下でも月給据え置きになりやすい。出典: 東京商工リサーチ 2026年度春季賃上げ実施状況・見込み(https://www.tsr-net.co.jp/news/status/, 閲覧日2026-08-22)
物価の壁もある。厚生労働省『毎月勤労統計調査』では実質賃金が前年度比−0.5%と4年連続マイナスで、名目給与は45カ月連続増でも物価上昇がそれを上回る。昇給率が物価を下回れば購買力は縮む。出典: 厚生労働省 毎月勤労統計調査2025年度確報(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA217IV0R20C26A5000000/, 閲覧日2026-08-22)

昇給しない会社の3つのタイプとサイン
昇給しない会社は3タイプに分けられる。第一に業績・原資の問題型で、価格転嫁が追いつかない声が多く2024年度調査では据え置き16.6%、賃下げ0.6%。第二に制度曖昧化型で、昇給基準が明文化されず上司裁量で決まり「頑張れば上がる」だけで条件が示されない。第三に人件費抑制型で、業績好調でも還元せず人件費を抑える。
出典: 帝国データバンク『2024年度賃上げ実績と初任給の実態アンケート』n=1050(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000852.000043465.html, 閲覧日2026-08-22)
構造面では、『毎月勤労統計調査』2024年6月分では所定内給与の伸びが大企業(1000人以上)+5.3%、中企業(100〜999人)+3.8%、小企業(10〜99人)+1.8%と、大手と小規模で約3倍の差がついた。出典: 厚生労働省『毎月勤労統計調査』2024年6月分結果確報/日本経済団体連合会 2024年春闘回答状況(https://www.asahi.com/articles/AST3K2TZPT3KULFA00RM.html, 閲覧日2026-08-22)
一橋大学の川口大輔氏の研究が指摘するように若い世代ほど賃金カーブは平坦化しており、初任給を引き上げる一方中堅以降の昇給幅を絞る会社が増えた。「初任給が高い=将来も高収入」とは限らない。弁護士法人ALGの解説では、一定年齢到達による昇給停止は就業規則上可能で45歳超設定が多い。出典: 弁護士法人ALG「定期昇給とは|廃止する際の注意点」(https://xn--alg-li9dki71toh.com/roumu/salary/raise, 閲覧日2026-08-22)
昇給率の差は複利で表れる。初任給22万円・賞与4カ月想定では、昇給率1%の会社で10年後年収389万円、2%で429万円、3%で474万円、5%で573万円となり、1%と5%で年間184万円の差になる。出典: 日本次世代企業普及機構 昇給・賞与ガイド(https://jws-japan.or.jp/whitecareer/blog/14311, 閲覧日2026-08-22)

有報と求人票で昇給ペースを調べる方法
上場企業は有価証券報告書が一次情報になる。金融庁EDINETで「従業員の状況」を開けば平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数が法定開示される。平均年齢による補正が重要で、平均年齢40.7歳・982万5000円の会社より44.5歳・895万5000円の会社の方が若いうちの昇給ペースは速くなる。
出典: 金融庁EDINET/IR就活.com「有価証券報告書で見る平均年間給与の調べ方」(https://irshukatsu.com/guide/heikin-nenshu, 閲覧日2026-08-22)
非上場企業は求人票と面接での確認が主になる。(1)昇給が「あり」だけか、率やモデル年収まで書かれているか。(2)賞与が固定か業績連動か、算定基礎額が基本給より低くないか。(3)評価基準が明文化されているか。(4)逆質問で5年目・10年目のモデルケースを具体額で出せるか。濁される場合は制度が機能していないサインだ。留まるべきか転職するかの判断基準
判断は3ステップだ。まず昇給規程の有無・過去3年の昇給実績・同期の状況で現職を確認する。次に同職種・同経験年数の相場を転職サイトやエージェント経由で把握する。最後に「3年以上昇給なし」「評価基準が不明確」「業績好調なのに還元なし」に当てはまるか判定する。
厚労省『令和6年雇用動向調査』では転職入職者の賃金増加者割合が40.5%と3年連続改善。マイナビ転職調査でも転職前後の年収はアップ40.2%、維持34.9%、ダウン25.0%で、30代の平均上昇額は約47万円、5人に1人が100万円以上アップしている。
出典: 厚生労働省『令和6年雇用動向調査』/マイナビ転職『転職による年収アップの実態調査』n=800(https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/careertrend/20/, 閲覧日2026-08-22)

まとめ
賃上げ時代でも賃上げしない会社は1割強残り、規模差は約3倍に開く。昇給しない会社は「原資なし」「制度曖昧」「人件費抑制」の3タイプに分かれ、有報の平均年齢補正と実績確認で入社前に見抜ける。名目より実質、現在値より昇給ペースという2軸が複利を守る出発点になる。
まずはキャリアアップAIで履歴書を解析し、現職との比較材料としたうえで、昇給ペースのある職場への転職判断に活かしてみてください。